eY-House
市街地から少し外れ、新しく開発された敷地。東側には海があり、広い抜けを感じることが出来る。今はまだほとんど建築されていないが、周辺環境は住宅分譲地の性格からプライバシーの確保は大切になる。

要望としては「生活感のない家」、LDKと一体のタタミコーナーにつながった庭。そして吹抜。2階は、個室群を配してプライベートルームとなる。

内観を白で統一しリビングとなる部分は、5mの高さの吹抜と明るく開放的な空間とする。南全面の窓には、夏の日射を遮れるように軒とロールスクリーンを用意する。その装置を隠すように、そして高さのある吹抜を強調するように天井から床までをレースのカーテンで覆ったことは空間の質を一気に跳ね上げた。要望にあった中庭を高い塀で囲み外界とのつながりを切る。そのことで内部の一体感は増した。もうひとつ庭を用意し、趣味のボードの手入れと物干しに利用できるよう機能的な位置に配置する。これは生活感の排除に他ならない。

外観は、要望となった黒を基調とするが、内部は白としていることから、黒は表皮と考えることで明確な表現にすることが出来た。周囲を囲う塀は、中間色のグレーとしたことで奥行きも出た。周囲へ与える印象も高さを抑えたことと併せて落ち着かせている。

今回は要望が明確であったこと、そして一貫した考えがあったことでシンプルに導くことが出来たと思っている。街並みに対しても附近に店舗、工場、倉庫など金属的な建物が多いことから住宅地ではあるが、工場などに素材感を合せることも模範的ではなくとも素直な解答と考えている。(長井)

Photo FUTOSHI MURAKAMI(大・中)